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色彩豊かな成長物語:『はらぺこあおむし』が世界中で愛される理由

エリック・カール作の『はらぺこあおむし』は、世界中の子どもたちや大人たちから愛され続けている絵本の一つです。1969年に発表されてから現在まで、数多くの国で翻訳され、子どもたちの心を魅了し続けています。美しい色彩とシンプルでありながら深いメッセージを持つこの絵本は、エリック・カールの代表作として知られています。

物語は、日曜日の朝、太陽が昇り、たまごから生まれたちっぽけなあおむしが主人公です。あおむしはお腹がぺっこぺこ。月曜日から順番に、りんご、なし、いちごといった食べ物を次々と食べ進めていきます。まだまだお腹が空いているあおむしは、どんどん大きくなっていき、やがて「ふとっちょのあおむし」になります。そして、たくさん食べたあおむしはさなぎになり、数日後には美しいちょうちょに変身するのです。

この物語は、あおむしの成長や変化を通じて、生命のサイクルや自然界の神秘を描いていますが、ただの知識絵本にとどまらない深い魅力があります。まず、子どもたちを魅了する一つ目のポイントは、穴の開いたしかけのページです。あおむしが食べた食べ物のページに指を入れて楽しむことができ、小さな子どもたちは物語の内容を理解する前でも、楽しみながら絵本に触れることができます。このインタラクティブな仕掛けは、子どもたちの興味を引き、絵本との最初の出会いを特別なものにしてくれるのです。

また、物語そのもののシンプルでありながら力強い展開も、この絵本が長く愛される理由の一つです。ちっぽけだったあおむしが、たくさんの食べ物を食べ、成長して美しいちょうちょに変わるというストーリーは、何度読んでも元気や希望を感じさせてくれます。特に、幼い読者にとっては、あおむしの成長と変化が自分自身の成長と重なるような感覚を抱かせるのかもしれません。

さらに、エリック・カールの作品の大きな魅力の一つである美しい色彩も、『はらぺこあおむし』の魅力を引き立てています。食べ物や登場キャラクターはカラフルに描かれており、特におひさまやちょうちょの鮮やかさは、子どもたちだけでなく大人も引き込む魅力を持っています。エリック・カールは、コラージュという技法を使って作品を作り上げており、紙を切り貼りして重ね合わせることで、独特の風合いや深みを持った作品に仕上げています。このコラージュ技法によって、シンプルなストーリーの中でも登場するすべてのキャラクターが生き生きと描かれ、まるでページから飛び出してくるかのような印象を与えています。

はらぺこあおむし

さらに、『はらぺこあおむし』には、曜日や数字、一日の流れなど、子どもたちが自然に学べる要素が盛り込まれています。食べたものの数を数えたり、曜日ごとに異なる食べ物が登場することで、子どもたちは楽しく遊びながら学ぶことができます。そうした教育的な側面も、『はらぺこあおむし』が世代を超えて愛され続ける理由の一つでしょう。幼児期に親しむ絵本としてだけでなく、小学校に入ってからもその内容を楽しみながら学ぶことができるという点で、この作品は非常に多様な魅力を持っています。

エリック・カールが『はらぺこあおむし』のアイデアを思いついたきっかけは、意外にもシンプルなものでした。彼が最初に作ったのは、穴をあけて進んでいく小さな虫を描いたカードでした。このカードが後に、あおむしが食べ物に穴をあけて進むというコンセプトに発展し、最終的に全32ページの絵本となりました。ストーリー自体は、担当編集者のアン・ベネデュースの提案を受けて進化していき、最初は「ウィリー」という名前の小さな虫が主人公でしたが、最終的には「はらぺこあおむし」へと変更されました。

はらぺこあおむし

この絵本の出版にあたっても、さまざまな困難がありました。ページに穴をあけたり、サイズが異なるページを使用するというデザインは、製作コストの問題からアメリカでの出版が難航しました。しかし、日本の偕成社がこの作品の可能性に惚れこみ、印刷や製本の交渉を一手に引き受けたことで、『はらぺこあおむし』は1969年に日本で初めて刊行されました。エリック・カールの独創的なアイデアと、日本の出版社の協力があったからこそ、この名作が生まれたのです。

その後、1976年にはもりひさし訳の日本語版が登場し、日本の子どもたちにも広く親しまれるようになりました。現在では、世界中の子どもたちに愛され、数えきれないほどの家庭や図書館で読み継がれている『はらぺこあおむし』。この絵本は、子どもたちに食べることや成長の喜びを伝え、また親子でのコミュニケーションを深める素晴らしい作品です。

『はらぺこあおむし』は、シンプルな物語の中にたくさんの学びと楽しさを詰め込んだ、永遠に読み続けられる絵本です。

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